2012年11月6日火曜日

はじめまして

 山口大学人文学部で社会学と社会心理学を教えています。
 専門分野は教育社会学と社会心理学で、主に青少年の道徳性について研究しています。
 もともとは、青年期の自我や道徳性の揺らぎに関心があり、E.エリクソンやL.コールバーグをもとに研究をしていました。
青年期の道徳性や性的発達についても、社会学的方法で調査研究をしてきました。
 しかし、これらの研究を通じて、青年期の具体的なあり方は常に変化しているけれども、揺らぎ自体は、かなり普遍的な現象であるという結論にたどり着きました。たしかに、近代化に伴って「青年期」が制度化され、いくつか新しい特性を持つようになったかもしれません。しかし、青年の社会性や道徳性、コミュニケーション能力の基礎的部分は、人類の進化のプロセスを通じて用意され、特定の社会的環境の下で発現しているに違いありません。
 こうした観点から、現在では、進化論や神経科学と社会学を架橋する必要性を痛感しております。具体的には、J.HaidtやC.Eiseneggerらの研究がそのモデルになると考えています。
 しかしながら、日本の社会学では、いまだにバイオフォビアやサイコフォビアが強烈であり、完全にイロモノ扱いです。みなさん、学問間の縄張り争いのために研究しているのかなあ?遺伝子や神経伝達物質に媒介されない社会的行為ってあるのかなあ?もしかしたら、脳の中に住んでいる「主体」という名の幽霊が、過去の社会的経験を踏まえて、新しい行為を導いてくれているのかも。もっとも私自身は、「能芸人とは違う」と反論しつつも、そんなスタンスが意外と嫌いじゃなかったりもします。
 このような経緯から、現在の私の研究活動は、大まかに区別すると左図の5つのテーマに及んでいます。
 3)政治意識の国際比較は、「若者の政治的無関心」が日本だけの現象ではなく、世界中でかなり広範にみられることを明らかにするために行っています。日本の特徴は、むしろ高齢男性の政治的関心が「枯れない」点にあります。また、自由や弱者救済という意味での政治的関心は、世界中の若者にみられます。
 5)原発避難者の調査は、原発事故の被害から東北や関東の子どもや若者を助けたいという思いと、原発事故後に日本人の間に作り上げられてしまったわだかまり=リスク意識の違いを何とか融和させたいという思いから始めました。しかしこの問題もまた、人間の直感システムとその多様性という青年期と共通する問題を含んでいたようです。
 こんな風にあちこちのテーマに手を出しながら、とてつもなく忙しい毎日を送っています。しかし、進化論に出会ったおかげで、40歳過ぎても、毎日ドキドキワクワク研究を続けることができました。C.ダーウィンと平石界さんに本当に感謝です。

社会と進化が交錯するこの「未開の大地」を、どなたかご一緒に耕しに行きませんか?

サトシ・カナザワ氏が、いたるところに地雷を埋め込んでしまっているかもしれない、「未開の大地」へいざ!!

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